2. DNA転写のメカニズム(1)




  DNAの存在こそ「(物質としての)生命体」の特徴であり、生物の生物たる所以は DNAを持っていることである。 DNA → RNA → たんぱく質 の流れを”セントラル・ドグマ”と呼ぶ。 (* DNAなどの情報源をもたないコアセルベート等は、現在ではもはや、進化論者によっても、最初の細胞となったとは考えられていない)


  (1) DNAについて:


  細胞からフェノール、アルコールを溶媒として遠心分離によって取り出されたDNAは、水和している状態では”とろろ昆布”のようで、乾燥させるとフェルトのようになる。
  DNA(ディオキシ・リボ核酸)はRNA(リボ核酸)よりも化学的に安定で、さらに水素結合で2本鎖になることによって細胞内できわめて安定である。 (ごく一部の例外を除いて)すべての生物で、2本鎖DNAは、右螺旋構造 (直径20Åほどの螺旋 ・・・ 時計回りに回転して下のほうに降りていく螺旋階段)であり、10〜11塩基で1周する。(* 異性体の左螺旋DNAも想定できるが、各種の酵素と反応しないため、生命体とはならない。これは、アミノ酸の「L−鏡像異性体」と同様に、生命体の「しるし」となっている。)

  よく研究された 大腸菌のゲノム・サイズは 4.8Mbp(480万bp、base pair、塩基対)。 ヒトでは 約3Gbp(30億bp)であり、その長さは、直線にすると約1mで、体の全細胞(60兆個)にあるDNAをすべてつなげると 太陽系の直径(60兆m)ほどにもなる。その内、遺伝子部分は 約5万箇所で、全体の4−5%であり、他の95%以上は意味を持たない部分(”がらくた(junk)遺伝子”)である。 ・・・・ この”がらくた遺伝子”は、生物体の中で唯一、無駄が許された、あるいは、余裕のある部分になっている。
  これは、ちょうど、ある設計者が、コンピューターのハードにプログラム余裕をもって書き込んだかのようである。他の、RNA転写、タンパク質合成、代謝などの機械的部分では無駄な部分は一切無い。


  生物を分類すると、1.真核生物(細胞核をもつ; 動物界、植物界、菌界、原生生物界の4つ)、2.真正細菌(バクテリア、狭義の細菌)、3.古細菌、に分類される。

  * ウイルスは、細胞を持たないので非生物に分類されている。 ウイルスは、たんぱく質の殻と その中の核酸(DNA or RNA)で構成され、他の生物の細胞を利用して自己複製・増殖することができる。ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から 逃れるための酵素などがコードされている。(大きさ:数10〜数100nm、遺伝子数:3〜100個しかない)
   ・・・・ インフルエンザやエイズのように、宿主にとって否定的な作用の場合が多く、”敵”が蒔いた”毒麦”か、あるいは、”身から出た錆”(?)


  このうち、古細菌(アーキア、アーキバクテリア)は、DNAのサイズが 1.3〜6Mbpであり 細菌よりもやや小さい程度であるが、DNAの近縁性は真正細菌とは離れていて むしろ真核生物に近い。古細菌は、好塩菌、好熱菌、好酸菌など、極限環境に生息するものが多いが、mRNAによるたんぱく質の合成、TCA回路(クエン酸回路)などの中央代謝(酸素呼吸)は真核生物と同じである。(ただし、メタン菌などの嫌気性菌は部分的) バイオマス(生物体の総量)は、真正細菌と合わせて、真核生物の数倍〜数十倍に達するといわれている。

  この古細菌のうちの”イグニコックス・ホスピタリス”は 129万7538bp(それでも、遺伝子数 1434個もある)で、すべての独立生物の中で最低数である。さらにその寄生菌では 49万885(遺伝子数 536)。 すなわち、最低限の独立生物体を営むためには、ゲノムサイズが最低130万bpも必要であり、DNA および 細胞組織 の非常に複雑なメカニズムが初めから必要ということになり、このことは進化論では非常に考えにくい事実である。進化途中と推定される中途半端な長さのDNAでは生物にならないのである。


  * 毎度お馴染み〜♪、”自然発生”によるDNAの生成確率の計算:

  周囲にDNAの材料が隙間無く満ちている条件で考える。

  ・ 最も単純に、それぞれ充分の個数のある n種類の中から、 重複を許して r個取って並べていくやり方の数は、 Π 通りある。(重複順列) 4種類の塩基(A、T、G、C)の中から一つずつ選んで ヒトの塩基数 30億個まで順番に並べるやり方の総数は、43000000000 通りであり、DNA1分子が必要最小限の結合時間の内に この条件で自然発生的に生成する確率は、この逆数となる。 各分子を1個ずつ(DNA1分子の重量≒10−25g)作ったとすると、その重量の総計は 43000000000 ×10−25g で、電卓による計算では大きすぎてエラーが出た〜〜

  ・ 次に、進化論にとって最も有利な条件で計算すると、100万塩基対程度のウィルスのDNAが 3兆年(進化論的宇宙の年齢の200倍)の間に、その1個が”自然発生的に”生成する確率は、1/10280(=ほとんど全くの 0)だった。(by. マルセール・ゴレ、情報学者) 因みに、太陽のような星に1個の地球のような惑星があったとして(1000億(銀河系中の恒星の数)の1000億(全宇宙の星雲の数)倍=1022個の地球)、これらのうちのたった一個の惑星にたった1個の最も短いDNAが自然発生する確率は 1/10(280−22)1/10268で やはりほとんど全く の0である。

  ・ もっとレベルを落としてみよう。 たんぱく質のうち比較的簡単なものでも分子量が34000もあり、約340個のアミノ酸が結合したポリペプチドである。このアミノ酸の配列の仕方は1033通りもあり、この各1個ずつの配列の異なる分子の総重量は、10280 g、 すなわち、地球の重さの10253 にもなってしまう。

  ・ 一方、並び方が設計された塩基鎖を人工的に合成することができるのは50塩基程度であり、しかも、100%純粋ではない。これ以上の塩基数になると、合成(反応数、収率、コスト)が指数関数的に困難になっていく。(→ 4.(1) PCR法 のプライマー合成




  (2) mRNAの転写と たんぱく質の合成:


  DNAでは、水素結合(60℃以上で切れる)する塩基対が、A(アデニン)−T(チミン)、G(グアニン)−C(シトシン)と決まっている。そのため、核内部における DNA 2本鎖のうち、センス鎖(保存用)は転写に関与せず、もう一つの アンチ・センス鎖(転写用)の、反対の情報を用いて mRNA(メッセンジャーRNA)にコピーされる。

  DNAの暗号は、エクソン(遺伝情報のうち有効な部分)と イントロン(無効な”がらくた遺伝子”の部分)に分けられ、まず、その両方とも mRNAに転写される。
  たとえば、ヒトのABO血液型遺伝子では、7つのエクソンをもつ 約35000塩基が転写され、核内でmRNA自身がその間に含まれるイントロンを編集(切り捨て、エクソン同士を互いに接合)して、結局、有効な情報部分のみのエクソンの連結は約1200塩基となる。(=RNAのスプライジング) 細胞内には外部からのウィルスなどのRNAを破壊する酵素で満ちているので、それらを通過するための”通行手形”として mRNAには CAP(帽子)とポリA鎖(アデニル酸の連結のしっぽ)が付けられ、ここで初めて核の外に出る。


  リボソームにたどり着いた mRNAは、各種アミノ酸を付けた t RNA(トランスファーRNA、これも DNAから転写される)と、その情報の符合が合致するアミノ酸をつなげ、アミノ酸配列であるポリペプチド鎖、すなわち、たんぱく質を合成する。この直鎖タンパクは分子シャペロンにより立体化され、糖鎖やリン酸基で修飾・活性化され、細胞内の各種の膜を通過しそれぞれ特定の場所に移動する。 ABO式血液型遺伝子によるたんぱく質の場合も、ABO血液型特有の糖鎖がここで作られる。
  たんぱく質は、各種のほとんどの生命活動をになうもので、1.酵素、2.細胞の材料、として生体内各所で用いられる。 r RNA((リボソームRNA、これもDNAから転写)は、全RNAの80%を占め、たんぱく質合成に用いられる。

  アミノ酸の種類は20種であるのに対し、これに対応する塩基は、3塩基のコドン(コード=暗号、43=64種)として対応する。(複数のコドンが一つのアミノ酸に対応。・・・* 遺伝暗号表 ↓)
  転写の 開始コドンは ATG(AUG):メチオニン(ただし、このメチオニンは合成後すぐに切り離される)、終止コドンは 3種あり、アミノ酸を指定しないのでここでポリペプチドが切れる。
  このように、3つ組塩基が一つの遺伝暗号を表し、遺伝暗号をだぶって読んだりせず、暗号と暗号の間にスペースなども無く、タンパク質合成の暗号解読は一切無駄が無く厳密に規定されていることが分かった。


  * どのコドンがどのアミノ酸に対応しているかを調べるために、U(ウラシル)のみを多数つなげた人工RNAを大腸菌の中に入れ、フェニルアラニンが多数つながったたんぱく質ができ、フェニルアラニンがUUUによって合成されることが分かった。(1961、ニーレンバーグ、米) また、C(シトシン)とU(ウラシル)が交互につながった人工RNA(UCUCUC・・・)により、ロイシンとセリンが交互につながったたんぱく質ができ、後に、CUCがロイシン、UCUがセリンを決めていたことが分かった。そして、1968年末に、64通りの暗号解読が完了した。(オチョアら、米)

  ** 遺伝子がDNAのどの場所にあるかなどの調査・特定には、mRNAを 逆転写酵素によって c DNA(コンプリメンタリ、相補的DNA)を作ることができ、これは、別途求められたDNAのシーケンスデータ(順序データ)から この特定の遺伝子部分を探すのに用いられる。

  *** DNAからRNAへの転写の詳細を見ると、
非常に”手の込んだ”メカニズムになっている。 ・・・ 「神様」による設計以外の何物でもない!
  転写の開始位置(プロモーター)は、原核生物で”マイナス35領域(TCTTGACAT)という配列が転写開始位置の35塩基対手前に存在する。もう一つは、”プリブナウ・ボックス”(TATAAT)が5〜10塩基対手前に現れる。それに加えて、真核生物では、開始位置から何1000塩基も遠いところに”エンハンサー”と呼ばれるDNAがあり、転写速度を決める。 RNAを合成するポリメラーゼの中の σと呼ばれるたんぱく質のサブユニットが開始位置の配列を確認し、σが取り去られ、RNAポリメラーゼがその位置に固定される。 RNAポリメラーゼは、約10個のDNAをほどき、最初の2塩基対との正しいリボヌクレオチドが鋳型に合うと、DNA鋳型沿いに1塩基だけ移動し、進むにつれDNA鎖を開き、合成していく。これらの段階は、20〜50ヌクレオチド/秒 という高速で進められていく。
  また、ポリメラーゼの先にDNAがもつれた状態になっている場合、”トポイソメラーゼ”というたんぱく質が、一本の鎖を切断し、未切断のDNA鎖を切断した鎖を通して送り、その後切断部を再縫合する。
  RNAポリメラーゼが、(原核生物の場合)”パリンドローム領域”(AT塩基対に富み 6、7箇所のGC塩基対を含む)という特異的なDNA配列に出会うと、転写が止まる。また、ポリメラーゼをDNAから外すために、ほとんどの場合 ρというたんぱく質が作用する。

  **** 血液型と性格との相関は、あくまで俗説であり、生物発生学的には、造血が 内胚葉起源の組織(胎児で肝臓・脾臓、出生後は骨髄)によるのに対し、性格に関係する脳神経系は外胚葉起源であり、全く異なる。(もし、相関があるとすれば、それは、人種的な差と 血液型の差が たまたま一致して変異したことによると考えられる ・・・ アジア系: B型が多い、等。 日本人は、2大人種(縄文系・弥生系)が混じって構成されているので、多少の相関が出てくるのだろう。)




  (3) いろいろな遺伝子:


  生物体のあらゆる機能は、ソフトウェアとして遺伝子の中のDNAにすべて書き込まれている。この点で、生物体は、「創造主」「ちり」を原料として造られた”生物機械”と見ることができる。

  @ 時計遺伝子:

  生物時計には、太陽の動き(地球の自転)に伴う約24時間の”サーカディアン・リズム(概日リズム)”のほかに、の満ち欠けによる半月周期のリズム、冬眠のように1年周期(地軸の傾き+公転)のリズムなどがある。これらのリズムは(環境によるのではなく)生物に固有で、外界から遮断してもこの時計遺伝子によってこれらのリズムが引き起こされる。
  ショウジョウバエの”ピリオド遺伝子”が故障すると、行動の周期や羽化する時刻がでたらめになる。この遺伝子によって作られるたんぱく質は、生物時計の発振体の主要な成分と考えられている。

  ・・・・・ 天体のリズムと、生物のリズムは、全く別物であるはずなのに、不思議とマッチしている。 これは、宇宙も生物も、それらを造った「創造主」が一つであり、そのように設計したからである。

  A 行動遺伝子:

  昆虫の行動(本能)は単純でパターン化されているので、行動遺伝子は比較的見つけやすい。(ヒトなどの高等生物の行動は複雑で見つけにくい) ショウジョウバエ(人工的に突然変異を起こしやすい)に突然変異を起こさせ、性行動のパターンに異常を生じさせることができる。(雌に全く興味を示さない”悟り”、雄にも雌にも求愛するが交尾しない”おかま”、かたくなに雄を拒否し続ける雌、など)

  B ホメオティック遺伝子:

  ホメオティック遺伝子は、動物の「体節構造」を決め、発生のきっかけを与える重要な遺伝子である。 ショウジョウバエの”アンテナペディア遺伝子”が壊れると、頭の体節の個性が失われ、触覚の代わりに脚が生えてくる。”バイソラックス遺伝子”が壊れると、二本の平均棍(羽が退化した棒状の突起)が羽になり、4枚羽のハエになる。 遺伝子上に一列に並んでいる これらのホメオティック遺伝子群には 共通する塩基配列(ホメオボックス)があり、ヒトやマウスなどの脊椎動物でも見つかっている。たとえば、手足を形成するとき、付け根から先まで各段階に対応して、この遺伝子スイッチが順に働く
  ヒトの場合も、ホメオボックス遺伝子の発現を規制する”転写因子”の突然変異で、1000〜2000出生に1例ほどの頻度で、”多指症”という指の本数が5本より多い症例が発生する。(豊臣秀吉も6本指だった)


  C 性決定遺伝子:

  男女の産み分けは可能だろうか? 1990年に、Y染色体(ヒトで 5100万bp)上の、性決定遺伝子= SRY(スライ)遺伝子が、胎児の生殖巣から精巣への分化を開始させることが明らかになった。(その後の性分化の過程は 性ホルモン(アンドロゲン)による) さらにマウスXX胚にこの遺伝子を導入する実験が行なわれ、ほぼ正常な雄マウスに性転換した。
  また、成熟雄ラットの神経にもSRY遺伝子が発見され、性ホルモンによらずに脳の性差に影響するという。

  ・・・・・ 「こうして神である主は、人から取ったあばら骨を、ひとりのの女に造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。」(創世記2:22)  XY染色体をもつ男のDNAを用いて、XX染色体をもつ女を造ることができるが、その逆はできない。アダム(男)に、エバ(女)のもつ情報がすべて含まれている。


  D 自殺遺伝子:

  オタマジャクシがカエルに変態するとき、しっぽの細胞が”自殺”するために しっぽが無くなる。しっぽの細胞をそれが死ぬ前に別の場所に移しても死滅する。
  また、ヒトの胎児の手は、発生の過程で、体の両脇から突き出したときは 手のひら全体がうちわのような形をしている。次に、指の骨ができてくると、指と指の間が薄くなり 水かきのようになり、最後に、指と指の間の細胞が”自殺”して 5本の指となる。
  このような、他を生かすために積極的に死ぬ 細胞の自殺現象は”アポトーシス”と呼ばれ、”壊死”(ネクローシス; 血行不良や環境の悪化などによる)と区別される。 アポトーシスの機構は、発生するがん化した細胞や異常な細胞を 常に取り除き、腫瘍の発生を未然に防いでいる。

  ・・・・・ 水かきの例などにより、環境による必要性がDNAに影響を与える、というメカニズムは何も見つかっていない。すなわち、初めからDNAの中に「設計」されている。


  E がん遺伝子:

  正常な細胞は、数段階のステップを経てがん化する(がんの多段階仮説)。 細胞のがん化には、(1) 増殖能の亢進、(2) 不死化、(3) アポトーシスからの回避、の三段階の変化が生じることが必須であると考えられている。  ・・・ この狡猾なメカニズムには、”悪霊的”な”意思”を感じる。がんは、決して他の細胞を養わず、個体全体が死ぬまで勝手に増殖する。
  がん遺伝子(発がんウイルス、”サーク遺伝子”、”ラス遺伝子”、”ミック遺伝子”など)から作られたたんぱく質は、主に核内で働く。 また、(前段階の)がん遺伝子の多くは正常細胞にも存在し、通常は、細胞内の情報伝達、細胞分裂の制御、細胞の分化や発生などで重要な機能を果たしている。 これらの正常な働きをする”がん遺伝子”が、発がん物質や放射線などによって突然変異を起こすと、異常な働きをするたんぱく質を合成して がん化のステップが昂進する。ウイルスのがん遺伝子は、(”身から出た錆び”的に)ヒトが持っていたがん遺伝子をウイルスが取り込んだもの。
  一方、がんを抑制する遺伝子(p53遺伝子; p53というたんぱく質を作る)も存在し、がん細胞にはこの遺伝子が失われている。


  F 老化遺伝子:

  人間や動物、植物にも細菌にも、また、正常な細胞にも、すべて”寿命”がある。 真核生物の染色体の末端にある”テロメア”という小粒部分(一本鎖で、DNA配列は哺乳類でTTAGGG の6塩基の繰り返し、長さは ヒトで 10kb。 最近ではテロメアのDNAは強固な4重鎖でG(グアニン)に富むことが分かっている)は、現時点では、細胞の老化が進むならばテロメアが短い、ということは知られているが、その逆は未だ明らかではない。 早老症の一つ ウェルナー症候群の患者や、早死にした クローン羊ドリー(1996-2003、5歳7ヶ月で死亡=人工的に体細胞(ドナーは5歳の雌羊・すでにテロメアが短かった)の核から作られたクローン動物、羊の寿命は通常10〜15年)、などのテロメアは短い。

  体細胞組織から取り出した培養細胞には分裂回数に制限(ヒトで 50〜70回の分裂まで)があり、それを越えると細胞は増殖を停止する。また、テロメアが一定長より短くなると不可逆的に増殖を止め、細胞分裂が止まる。 染色体の末端では、プライマーがセットできないので 複製が行なわれず、”テロメラーゼ”という酵素がない場合、染色体は複製のたびに、50から200塩基対ずつ短くなる。
  しかし、何度でも分裂し続ける 生殖細胞 がん細胞では、テロメラーゼが働きテロメア部分を修復する。(がん細胞には大量のテロメラーゼが存在し、がん細胞が不死である理由の一つになっている)  ただし、テロメアの長さは、生殖細胞では長く(ヒトで 15k〜20kb)、がん細胞では正常細胞よりも短い。テロメアを欠損することにより姉妹染色体の間で融合が起こり、複製の際に異常染色体の生成が加速され、がん化につながるモデルが提唱されている。

  また、これとは別に、食べすぎ、アルコール、トランス脂肪酸 等によって、食物が分解するとき 酸素フリーラジカル(酸素遊離基)が発生し、DNAやたんぱく質に不可逆的な障害を与え、老化(+血管障害、がん化)を促進する。


  ・・・・・ 1) 人間が「罪(原罪)」を犯した結果「必ず死ぬ」ようになった。(創世記2:17)  さらに、(聖書にある人々の年齢の記述から、)2) ノアの洪水後、人間の寿命は急に短くなった。(アダム〜ノアまで900歳台 → セムの600歳〜アブラハムの175歳、 by. 地上に降り注ぐ放射線の量が増えたため) ( 注) 「そこで、主は、「わたしの霊は、永久には人のうちにとどまらないであろう。それは人が肉にすぎないからだ。それで人の齢は、百二十年にしよう。」と仰せられた。」(創世記6:3)は、(直訳)洪水まで残された日々が120年、の意)


  * バクテリアのDNAは環状で、端部もテロメアも無い。そのため、バクテリアには寿命が無く、(適した環境と栄養さえあれば)無限に増殖を繰り返す。 (ヒトのDNAも造られたときは”環状”だった?)




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